2015年3月23日月曜日

T君の卒業

私には、こわれてはいるけれどずっと大切に使っているシャーペンがあります。


それは7年前。

T君はまだ中学受験の小学5年生。それもかなりの「悪戯坊主」でした・・・

初めて彼にかけた言葉は、「T君うるさい!」。

教室でも勉強の合間にちょろちょろとすばしこく動き回り、
人のペンをすり替えていったり、悪さをしてはケラケラ笑っていたり、
勉強はよくできるのに、「ちょっと落ち着かなくて困った子」でした。

それで本来通っていた教室では女の子達に邪魔にされ、
何故か私が担当することになっていたのです。

それからだんだん落ち着いて勉強できる時間が増え、
十代にさしかかった彼はいろいろな事も身に降りかかり、
ただただ悪戯坊主でもいられなくなりました。

気がつけば、教室の開いている時間が終わっても
まだ「もうちょっとやっていきたい」と、
私のお弁当のおにぎりを夜食に食べては、
私の就業時間が過ぎてもお母さんがお迎えに着いても、
しばらく付き合わなければならないほどに
「自立学習」に没頭するようになっていました。

そんなときは彼の身体は心配でも、うれしいものでした。


そうして迎えた中学受験。

よりによって第一志望の入試当日、
抱えていたいろいろな事情と直面させられ、
試験に集中しきれなかったことも知っています。

それでも難関試験をくぐり抜け、
第二志望校やチャレンジ入試にも成功しましたが、
第一志望の合格は叶いませんでした。

その悔しさをバネに、受験が終わってもT君はどんどん勉強にのめり込みました。
むしろ受験前より必死なくらいに。
絶えず相談しながら、自立学習で予習を進め、
わかっていくことがおもしろくて仕方ないようでした。

そんなある日、彼は「いらないからあげる」と、
自分の使っていたちょっとヒビの入ったシャーペンをくれたのです。
「こわれたからくれるの?でもありがとう、大事に使うよ」
と、ちょっと皮肉を言いながら受け取りました。
そして、「なんか言うの恥ずかしいけど、東大に行きたい」
とも打ち明けてくれました。
私は彼のその決意の記念に、もらったシャーペンを使い始めました。

その後、当然中学でも成績は上位、校外模試でも
順位表に名前が載るほどの成績をとるようになりました。
中学の卒業時には、「品行方正学力優等」で表彰されたほどです。

やがて、彼の「東大に行きたい」夢は、「医者になりたい」
に変わっていました。

私よりずっと小さかった背もどんどん伸びて、
気がつけば私よりずっと大きくなっていました。

自立学習で集中して勉強する姿は、いつしか教室でのお手本になっていました。
この6年間で、いろいろな成長があったのでしょう。

そして今年、T君は見事防衛医科大学に合格、
どうしても叶えたい「医者になる」夢の実現に一歩を踏み出しました。
7年以上通ってくれた自立学習指導会を卒業するときが来ました。

おめでとう!!
防衛医大は厳しいと言われる環境でしょうが、
君ならきっと全うしてよい医師になることでしょう!!

そしてT君が医大を卒業してお医者さんになる日まで、
またこのシャーペンは、それまで大切に使うことにしますね!











0 件のコメント:

コメントを投稿